なぜアスリートに「まごわやさしい」が必要なの?栄養の基本を解説!

2025.12.25

アスリートにとって、日々の「食事」は身体を作るために、練習と同じくらい、あるいはそれ以上に大切な要素です。体を動かすエネルギー源となり傷ついた体を修復し、さらに強くする「最高のトレーニング」とも言えるでしょう。

しかし、「アスリートの食事」と聞くと、「特別なサプリメントが必要なのでは?」「カロリー計算を厳密にしなくてはいけないのでは?」と難しく考えたり、プレッシャーを感じたりする方もいるかもしれません。

アスリートに必要な栄養の基本は決して特別なものではなく、日本の伝統的な食文化に基づいた、誰もが取り入れやすい合言葉があります。それが、「まごわやさしい」です。

本記事では、「まごわやさしい」の言葉を通じて、アスリートにはなぜこの栄養素を必要とするのか、そして日々の食卓でどのように取り入れることができるのかを、フードコーディネーターの明石がわかりやすく解説していきます。

栄養バランスの合言葉「まごわやさしい」とは?

「まごわやさしい」は健康的な食生活を送るために、昔から大切にされてきた日本の食材の頭文字を並べたものです。

日々の食事にこれらの食材を意識して日々の食事に取り入れるだけで、自然と栄養バランスが整います。では、一文字ずつの意味や栄養素、なぜ身体に必要を解説します。

頭文字意味含まれる主な栄養素アスリートに必要な理由
まめ(大豆、豆腐、納豆など)タンパク質、ミネラル、食物繊維筋肉や骨の材料。疲労回復、貧血予防に。
ごま(ナッツ類、アーモンドなど)脂質、ミネラル、ビタミンEエネルギー源、細胞膜の材料。抗酸化作用。
わかめ(海藻類、ひじき、のりなど)ミネラル(特にカルシウム)、食物繊維骨や歯を強くする。体調管理に重要。
やさい(緑黄色野菜、淡色野菜)ビタミン、ミネラル、食物繊維体の調子を整える。疲労回復、免疫力向上。
さかな(魚介類、特に青魚)タンパク質、DHA・EPA筋肉の修復。炎症を抑える作用、脳の疲労回復。
しいたけ(きのこ類、えのきなど)ビタミンD、食物繊維、ミネラル免疫力向上。カルシウムの吸収を助け、骨を丈夫に。
いも(じゃがいも、さつまいも、里芋など)炭水化物、ビタミンC、食物繊維エネルギー源。疲労回復を早める。
POINT

この合言葉を覚えておくだけで、献立を考える際の大きなヒントになります。買い物をする時にちょっとだけ頭に浮かべてみてくださいね。

アスリートの体に「まごわやさしい」が必要な理由

では、ここからはアスリートがこれらの食材を積極的に摂るべき理由を、栄養素の役割と関連付けて解説します。

1. 強い体を作る「タンパク質」(ま・さ)

激しい練習によって、筋肉の筋繊維は一時的に破壊されます。これを修復し、さらに強く、大きく成長させるために欠かせないのがタンパク質です。

  • ま(豆):大豆製品は良質な植物性タンパク質で、脂質が少なくヘルシーです。
  • さ(魚):魚のタンパク質は消化吸収が良く、特に青魚にはDHA・EPAという良質な脂質も含まれており、体の炎症を抑える働きも期待できます。

2. エネルギー源と疲労回復を担う「炭水化物・脂質」(い・ご)

運動のパフォーマンスを支える主要なエネルギー源は炭水化物、糖質と脂質です。

  • い(いも):さつまいもやじゃがいもは、炭水化物源であると同時に、ビタミンCや食物繊維も豊富です。ビタミンCは練習で受けた体のストレスを軽減するのに役立ちます。
  • ご(ごま・ナッツ):良質な脂質は、長時間の運動のエネルギー源として重要です。また、ビタミンEなどの抗酸化作用を持つ成分も含んでおり、体の酸化を防いで疲労回復をサポートします。

3. 体の調子を整え、怪我を予防する「ビタミン・ミネラル」(わ・や・し)

いくらエネルギー源やタンパク質を摂っても、体の調子を整えるビタミンやミネラルが不足していると、効率的にエネルギーを生み出したり、筋肉を作ったりすることができません。

わ(海藻):カルシウムや鉄などのミネラルが豊富です。特に鉄は、酸素を体中に運ぶ役割があり、不足すると貧血や疲労感につながり、持久力の低下を招きます。

  • や(野菜):ビタミンA、C、Eなど、さまざまなビタミンが豊富です。これらのビタミンは、免疫力を高めたり、練習後の疲労回復を早めたりする重要な役割を持っています。
  • し(きのこ):ビタミンDが豊富で、このビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨を強くするために不可欠な栄養素。怪我の予防、特に疲労骨折の予防に非常に重要です。

プレッシャーを感じず取り組む食育のヒント

アスリートを支える保護者の方は、日々の献立や栄養管理に大きな責任を感じているかもしれません。しかし、完璧を目指す必要はなく大切なのは「継続」と「楽しさ」です。

「まごわやさしい」の考え方は、献立作りのプレッシャーを減らす為の「強力な合言葉」になります。

ヒント1:「献立チェックリスト」として活用する
に、どれだけ「まごわやさしい」の要素が入っているかをチェックする習慣をつけてみましょう。

今日の夕食例:
ま:味噌汁に豆腐を入れた
ご:ご飯にごまをふりかけた
わ:ひじきの煮物を作った
や:付け合わせにサラダを用意した
さ:メインが鮭の塩焼きだった
し:味噌汁にえのきを入れた
い:肉じゃがいもを作った

→ この食事は「まごわやさしい」をほぼ全てカバーできている!
 
完璧に毎日全てを揃える必要はありません。3日間の食事で全ての要素を取り入れられていれば合格!くらいの気持ちで、気楽に取り組んでみてください。
ヒント2:「ちょい足し」で栄養価をアップさせる
忙しい日や、献立を考える余裕がない日は、「ちょい足し」の工夫で栄養価を上げましょう。


<簡単な「ちょい足し」例>


納豆を小鉢で出す。味噌汁にきな粉をひと匙プラス。

炒め物やごはんにすりごまをかける。

味噌汁の具に乾燥わかめをたっぷり入れる。焼きのりをご飯のお供に。

冷蔵庫にある野菜や冷凍野菜で即席の和え物やお浸しを作る。

缶詰のサバ缶・ツナ缶を常備し、和え物や味噌汁に入れる。

干ししいたけなどの乾燥きのこを常備し、汁物や煮物に加える。

さつまいもやじゃがいもをまとめて蒸し、常備菜にする。
ヒント3:「選ぶ力」を身につける
アスリート自身が「まごわやさしい」を理解し、自分で食事、食材を選ぶ力(食育)を身につけることが重要です。
例えば、コンビニでおにぎりを選ぶ際、「鮭(さ)とひじき(わ)のおにぎり」「ツナマヨ(さ)と野菜(や)サンド」など、合言葉を基準に選ぶように声をかけてみてください。
自分で選んだ食事で身体が作られているという意識や気持ちが、日々のトレーニングと同様に身体づくりやパフォーマンスアップに重要です。
ライターイメージ
Composition with assorted organic food products on wooden kitchen table.

楽しいヒント!「まごわやさしい」

「まごわやさしい」は、特別なルールではありません。日本人が昔から大切にしてきた、身体に必要な栄養素をバランス良く取り入れるための知恵です。

この合言葉を日々の食卓に取り入れることで、アスリートの皆さんは最高のパフォーマンスを発揮し、怪我を予防しや、健康な身体を維持する力を養うことができます。プレッシャーを感じずに、この合言葉を献立づくりの楽しいヒントとして活用してください。

年末年始の休みの間も、おいしい食事を通じて、心身ともに健康な日々を過ごしましょう!

Writer / akashi

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