パフォーマンスUPを狙え! 試合前日、何食べればいい?食事の基本を考えよう!
大切な試合前日など「何を食べたら最大限のパフォーマンスができるか?」を知っていますか?お腹に優しく、エネルギーになる高糖質で低脂質のルールを含め、パフォーマンスを高めるための食の知識を身につけることで、自らの身体を成長させることができます。
また、本記事では、フードコーディネーター明石がおすすめする簡単な「試合前日おすすめレシピ」もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

試合前日の食事の基本原則
試合前日の食事の最大の目的は、体内のエネルギー貯蔵を最大化することです。
筋肉と肝臓に貯蔵されるグリコーゲンは、試合中の主要なエネルギー源であり、これが満タンの状態であれば、粘り強く戦い抜くためのスタミナが確保されます。
そのため、試合前日の食事では、摂取する栄養素の種類と量、そして消化への負担を最小限に抑えることがとても重要になります。
最優先は「糖質」の確実な摂取
試合前日のメインとなるべき栄養素は糖質です。ご飯、パン、麺類、餅、芋類などの主食から、質の良い糖質を積極的に摂取します。
これらの食品は、玄米やパスタなどの全粒穀物と比較して、食物繊維が少なく消化吸収が速いため、胃腸に負担をかけずに効率よくエネルギーに変換できます。
通常の食事量よりもやや多めに、特に夕食で主食の比重を高めることが理想です。ただし、無理に詰め込みすぎると胃もたれの原因になるため、慣れた量を守ることも大切です。
「脂質」と「食物繊維」は制限する
パフォーマンス向上を目指す上で、制限すべき要素があります。それは脂質と食物繊維です。
脂質は消化に非常に時間がかかり、胃の中に長く留まるため、胃もたれや消化不良の原因となります。消化器官に負担がかかると、十分な睡眠が取れなかったり、翌日の試合中に腹痛を引き起こしたりするリスクがあります。
揚げ物、バターや生クリームを多く含む料理、脂肪分の多い肉類(バラ肉、脂身など)は避けましょう。
食物繊維自体は健康に良いものですが、消化に時間がかかることや、腸内でガスを発生させやすい性質があります。大量のきのこ類、海藻類、ごぼうなどの硬い野菜、豆類などは、前日には控えめにすると良いですね。
「タンパク質」は低脂質なものを適量とる
タンパク質は筋肉の修復と維持に重要な栄養ですが、試合前日においては「低脂質」を条件に適量を摂る意識が大切です。
皮なしの鶏むね肉、白身魚、豆腐、納豆、卵を油を使わない調理法で調理してみましょう。これらは脂質が少なく消化しやすいのがおすすめのポイント。赤身肉やチーズなどの高脂質なタンパク質は避け、消化を助けるためにも、少量ずつ主食と組み合わせて摂取します。
水分補給と補食の活用
脱水はパフォーマンスを著しく低下させるため、試合前日もこまめな水分補給が欠かせません。水またはスポーツドリンクを意識的に飲みます。また、夕食後や就寝前にお腹が空いた場合は、消化の良い補食を取り入れます。
例えば、バナナ、カステラ、ゼリー飲料、少量のおにぎりなど。これらは翌日のエネルギー源として、グリコーゲンをさらに補充する役割を果たします。

【世代別】失敗しない食事の選択

ここからは、それぞれの世代や暮らしに合わせて、具体的な食事の選択肢と注意点を説明します。
一人暮らしの方向け:コンビニ・外食活用術
自炊が難しい、または時間がないアスリートは、市販の食品や外食を上手に活用してみましょう。注意点だけ意識すれば、手軽に栄養補給ができますよ。
コンビニ・スーパーでの選び方と注意点
- 主食の確保:
- ご飯系:具材がシンプルな塩むすび、梅おにぎり、昆布おにぎりが最適。ツナマヨやから揚げ、カツ丼などの脂質の多いものは避けます。パックご飯を電子レンジで温めるのも良いでしょう。
- 麺類:温かいかけうどん、そば(具材はシンプルに)がおすすめです。脂質の多いラーメンやパスタは避けます。
- パン系:カステラや蒸しパンなど、シンプルな甘いパンを選びます。クロワッサンやデニッシュ、クリームの多い菓子パンはおいしいのですが、脂質が多いので気をつけましょう。
- 低脂質のタンパク質:
- サラダチキン(プレーン)、豆腐、納豆、温泉卵などが手軽に購入できます。揚げていない焼き魚や煮魚もバランスの良いおかずになります。
- 補食・間食:
- バナナ、カットフルーツ、フルーツゼリー、スポーツようかん、エネルギーゼリーなどを活用し、試合当日に向けて細かくエネルギーを補給します。
外食での選び方と注意点
外食の機会がある場合、次のポイントでメニューを選びます。
- 和食優先:うどん、そば(かけ、月見など)、焼き魚定食(サバやアジの塩焼きなど)、親子丼、牛丼(脂身の少ない部分を選ぶ、つゆだくは控える)などが消化の面などでも安心です。
- 調理法に注目:揚げ物(天ぷら、フライ)、炒め物(野菜炒め、チャーハン)、脂質の多い煮込み料理は避けましょう。
- 時間帯:夕食は就寝の3時間前までに済ませ、消化時間を確保することが、質の良い睡眠につながります。
保護者向け:成長を支える食育の考え方
成長期のアスリートを支える保護者にとって、食事は栄養補給だけでなくお子さまの心身の成長を支え、体調管理の大切さを身につける、また、一人暮らしを始めたときに自己管理を自ら行えるようにするための「食育」の一環です。
成長期のアスリートに必要な配慮
- 量と質のバランス:
- エネルギー消費の多い成長期のアスリートは、大人以上のエネルギー量が必要です。カロリーを増やすだけでなく、骨の成長に必要なカルシウム、運動で失われがちな鉄分、これらの吸収を助けるビタミンDなど、栄養の「質」にも配慮した献立を目指してみましょう。
- 試合への慣れと安心感:
- 前日の食事は選手にとって大切な一食、安心感を与える要素です。新しい食材やメニューを取り入れるのではなく、食べ慣れたものを中心に用意することが心身共に安定につながります。
- メンタルケアとしての食事:
- 試合前は誰でも緊張するものです。食事の準備を通して、「応援しているよ」という思いをさりげなく伝えてみては。食卓を囲みリラックスして会話ができる環境を整えることが、お子さんの不安を和らげます。
- 主体性を引き出す知識の共有:
- 「これを食べなさい」ではなく、「この食事は、明日の試合で最後まで走り切るために必要だよ」と、栄養素の役割を伝えることも食育一貫です。将来的に自分で食事を選べる能力を育みます。

試合前日におすすめ! 実践簡単レシピ

時間がない、料理が苦手という方でも簡単に作れる、高糖質・低脂質のレシピを2つ紹介します。
さつまいもとサラダチキンのマスタードサラダ
加熱はさつまいもだけ!あとは混ぜるだけの超簡単レシピです。お弁当のおかずにも
材料(1~2人分)
| カットさつまいも(冷凍) | 100g |
| サラダチキン(プレーン) | 1パック |
| ※粒マスタード | 小さじ1/2 |
| ※ポン酢 | 小さじ1(ポン酢の代わりに醤油でも可) |
| ※砂糖 | 適宜 |
| コショウ | 適宜 |
作り⽅
- 冷凍カットさつまいもを耐熱容器に入れ、パッケージの表記通りに600W電子レンジで加熱します。目安は1分半〜2分程度。竹串が通るくらいまで柔らかくします。
- サラダチキンを袋から出し、食べやすい大きさに手でほぐします。
- 加熱してホクホクになったさつまいも、ほぐしたサラダチキンをボウルに入れます。
- ※の調味料とコショウを加え、さつまいもを崩しすぎないように軽く和えてできあがり。
冷凍さつまいもは、皮をむいたり切ったりする手間がなくレンジ加熱だけで簡単に調理できます。また「粒マスタード+ポン酢」の組み合わせは、脂質を抑え、ちょっと洋風で満足感のある味になります。
手軽な補食にも!バナナと餅のあんこ添え
消化吸収の良い糖質と、鉄分・ミネラルを含むあんこを組み合わせたメニューです。補食や食後のデザートにも!
材料(1人分)
| 餅(個包装のものなど) | 1個 |
| バナナ | 1本 |
| プレーンヨーグルト | 100g |
| ゆで小豆(缶詰またはレトルトものなど) | 大さじ2~3 |
| 蜂蜜またはメープルシロップ | お好みで |
作り⽅
- 餅は耐熱皿に入れ、少量の水(分量外)をかけて、電子レンジで柔らかくなるまで加熱します(目安:500Wで30秒~1分)。
- バナナは食べやすい大きさにスライスし、器に入れたヨーグルトの上に並べます。
- 加熱した餅を適当な大きさにちぎって入れ、上からゆで小豆をかけます。
- お好みで蜂蜜やメープルシロップを少量かけてできあがり。
バナナや餅で糖質をしっかり確保。さらに、ゆで小豆、あんこは糖質補給になるだけでなく、アスリートが不足しがちな鉄分やミネラルも補給できる優秀な食材です。缶詰なども手軽なので、ぜひ利用してみましょう。

栄養の確保は楽しく、おいしく、しっかりと!
試合前日の食事は、単なる空腹を満たす行為ではなく、アスリートが最高の状態で試合に臨むための「最終調整の時間」と言っても過言ではありません。
ご紹介した「高糖質、低脂質、低食物繊維」の原則を守ることで、エネルギーを確実に満タンにし、胃腸の負担を最小限に抑えることができます。
料理が苦手な方でも、「市販品などを組み合わせることで必要な栄養が確保できる」という気持ちで気軽においしく栄養補給をしましょう。
試合前日の食事は、自信を持って試合に臨むための大切な時間です。楽しく、おいしくしっかりと。本記事を参考に、試合当日に最高のパフォーマンスを発揮できるような食事を準備してみてくださいね!