学生アスリートのための「負けない身体」を作る! 免疫力アップのための食事とは?

2025.11.14

日々の厳しいトレーニングに励む学生アスリートの皆さん、そしてそれを全力で支える保護者のみなさん、気温も下がり体調管理も大変な時期ですね。

目標に向かって努力を続ける中で、最も避けたいのが、インフルエンザやコロナウイルスなどの感染症による離脱です。

特に冬場や季節の変わり目は、感染症のリスクが高まります。一度感染してしまうと、練習の遅れだけでなく、体力が回復するまでに時間がかかり、コンディションを戻すのに苦労します。

「体調管理」「感染予防」というと、手洗いやうがい、睡眠といった項目が思い浮かびます。

ポイント

しかし、感染症から身体を守るための最も基本的な土台となるのが

「毎日の食事」です。

今回も、フードコーディネーターの明石が、学生アスリートが最高のパフォーマンスを発揮し続けるために、普段の生活でできるちょっとした食の工夫や、簡単レシピをご紹介します。

一人暮らしの学生や、保護者の方が「難しい栄養管理」というプレッシャーを感じることなく日々の食事を整え、免疫力を高めるために無理なく取り入れられるレシピをご用意しました。ぜひ、参考にしてください!

負けない身体の土台! 免疫力の仕組みと栄養の役割

私たちの身体には、外部から侵入するウイルスや細菌と戦うための「免疫」が備わっています。これを十分に機能するためには、特定の栄養素が欠かせません。

ウイルスに負けない身体づくりをするには、どんな栄養素をどんなタイミングで、具体的にどんなものを食べたら良いのか解説します。

免疫細胞のエネルギー源(炭水化物・脂質)

激しいトレーニングを行うアスリートは、体内でエネルギー源が不足しがちです。エネルギーが不足すると、身体は筋肉や免疫細胞を分解してエネルギーを得ようとします。この状態が続くと、免疫全体が活動を停止、低下し、病原体に対する抵抗力が落ちてしまいます。

対策

主食(ごはん、パン、麺類など)から十分な炭水化物を摂取し、エネルギー源を常に満たしておくことが基本です。

トレーニングの前後だけでなく、食事と食事の間にも、おにぎりやバナナなどで補給を心がけましょう。身体が温まってくる感じを体感できますよ。

免疫細胞そのものの材料(たんぱく質)

たんぱく質は、筋肉だけでなく、ウイルスと戦う「抗体」や、免疫細胞そのものを作る「材料」となります。不足すると、免疫力の維持ができなくなります。

対策

肉、魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆)、乳製品といった良質なたんぱく質を、毎食欠かさず摂取しましょう。

特に、動物性と植物性のたんぱく質を組み合わせて摂ることで、より効率よくアミノ酸を補給できます。

免疫を活性化させる食品とは?

特定のビタミンやミネラルは、免疫細胞の働きを強力にサポートしたり、身体の粘膜を強化したりする役割を果たします。
わかりやすく、栄養素、役割、食材に分けてご紹介します。

栄養素期待できる役割主な食材
ビタミンA鼻や喉、消化管の粘膜を強化し、
ウイルス侵入を防ぐバリア機能を高める。
レバー、うなぎ、卵黄、緑黄色野菜(人参、かぼちゃ、ほうれん草)
ビタミンC抗酸化作用で免疫細胞の損傷を防ぎ、ウイルスと戦う力をサポートする。柑橘類、イチゴ、ブロッコリー、
パプリカ、じゃがいも
ビタミンE強い抗酸化作用で細胞膜を守り、
免疫細胞の働きを正常に保つ。
ナッツ類、植物油、アボカド、
かぼちゃ
亜鉛免疫細胞の増殖と活性化に必須。
不足すると免疫力が著しく低下する。
牡蠣、赤身の肉、卵、チーズ、納豆
乳酸菌腸内の環境を整え、腸管免疫を活性化する。(免疫細胞の約7割が腸に集まっている)ヨーグルト、納豆、味噌、漬物
アドバイス

栄養バランスは「プラスワン!」でOK

「栄養バランスを完璧にしなければ」と保護者の方がプレッシャーを感じる必要はありません。日々の食事で意識するのは、「定食の形」を意識する「プラスワン」の簡単な工夫です。

意識するのは「定食の基本形」

難しい計算は不要です。食卓を定食スタイルに近づけることを意識するだけで、自然とバランスが整いますよ。

定食の形とは?

主食(炭水化物): ごはん、パン、麺など

主菜(たんぱく質): 肉、魚、卵、大豆製品をメインにした料理

副菜①(ビタミン・ミネラル): 野菜を使った一品(和え物、サラダ、炒め物など)

副菜②(ビタミン・ミネラル): もう一品の野菜料理やきのこ、海藻類

汁物(水分・栄養の補給): 味噌汁やスープなど

もし忙しくて副菜を2品作れない場合は、「主菜に野菜をたっぷり加える(肉野菜炒め)」や、「具材たっぷりの味噌汁(豚汁、けんちん汁など)」で補うだけでも十分です。

免疫力を高める「プラスワン」の簡単ポイント

既存の献立に、次の栄養素を持つ食材を「ちょい足し」するだけで、免疫力アップにつながります。

どんなものをちょい足しすれば良いのでしょうか?

発酵食品のちょい足し(腸内環境を整える)

納豆を朝食に添える。

ヨーグルトにきな粉(たんぱく質もプラス)をかけて食後のデザートに。

味噌汁の具にきのこや海藻(食物繊維)を加える。

粘膜を強くする食材のちょい足し(ビタミンA)

卵焼きにほうれん草や人参を刻んで入れる。

かぼちゃの煮物や素揚げを常備菜にする。かぼちゃは冷凍食品などでもOKです。

食後のフルーツβカロテンを含む、みかんや柿を取り入れる。

積極的に摂取したい「油」のちょい足し

免疫の調整に役立つとされるオメガ3系脂肪酸(DHA・EPA)を意識して摂取する。

魚(特にサバ、アジ、イワシなどの青魚)を週に数回取り入れる。手軽な魚の缶詰も活用してみる。

サラダや和え物に、アマニ油やえごま油を少量かけるのも簡単です。

免疫力アップ常備菜&時短メニュー

手間をかけず、栄養価の高い食卓を支えるための具体的なレシピ例をご紹介します。炒める、煮る、混ぜるだけの簡単レシピです。

鶏むね肉と野菜のピリ辛味噌炒め(たんぱく質・ビタミンA・亜鉛)

鶏むね肉はおなじみの高たんぱく、低脂肪。味噌と豆板醤の風味で食欲増進!ごはんがすすみますよ。

材料(2人分)

鶏むね肉1枚(約250g)
玉ねぎ1/2個
にんじん1/2本
ピーマン又はパプリカ1個
しめじ1/2袋
たまご1個
片栗粉大さじ1
ごま油大さじ1
※おろししょうが(チューブ可)大さじ1
※味噌大さじ2
※醤油大さじ1
※みりん大さじ1
※豆板醤小さじ1/2
※鶏がらスープの素(顆粒)小さじ1/2
※酒または水大さじ1

作り⽅

  • 鶏むね肉はそぎ切りにし、酒と塩で下味をつけ、片栗粉をまぶしておきます。※調味料を混ぜて合わせ、たまごは溶いておきましょう。
  • 全ての野菜を野菜を細切りにします。
  • フライパンにごま油を熱し、鶏むね肉と野菜を炒める。火が通ったら、合わせ調味料を加え、全体に絡めてください。
  • 仕上げに溶き卵を回し入れ、軽く混ぜて、たまごが固まったら火を止めて完成です。

味噌と豆板醤の風味は食欲増進を狙うため、味が薄いと感じるようであれば、味噌の量を微調整してみてください。ご飯の上にのせて丼やレタスで巻いてサラダ感覚で食べてもおいしいですよ。

まるごと栄養!豚肉と根菜のポカポカ味噌汁(ビタミンA・B群・乳酸菌)

具材をたくさんに入れることで、これ一品で副菜の役割も果たします。豚肉のビタミンB1は疲労回復に役立ちます。

材料(2~3人分)

豚こま肉150g
大根100g
にんじん1/2本
ごぼう1/3本
かぼちゃ100g
じゃがいも2個
きのこ類(しめじ、えのきなど)1/2株
豆腐(木綿または絹)1/3丁
だし汁(顆粒だしで作っておく)800ml〜1000ml
味噌大さじ3〜4
大さじ1
ねぎ(小口切り)適量

作り⽅

  • 人参、大根、ごぼう、かぼちゃなどの根菜をいちょう切りにしておきます。 だし汁を煮立て、根菜を硬いものから順に入れます。
  • 野菜が柔らかくなったら、豚肉ときのこ類、豆腐を加え、アクを取ってください。
  • 火を止める直前に味噌を溶き入れます。
  • お好みで、仕上げにネギや七味唐辛子を振るって完成です。

作ってすぐよりも、一晩寝かせると根菜に味が染みてさらにおいしくなります。朝食に出せば、冷えた身体を温め、午前中の活動エネルギーになります。

野菜を切るのが大変な場合は、豚汁用の野菜の水煮などを使っても良いでしょう。

まるごと栄養!豚肉と根菜のポカポカ味噌汁(ビタミンA・B群・乳酸菌)

茹でた小松菜と納豆を和えるだけの簡単メニュー。納豆菌とビタミンCを同時に摂取できます。

材料(2~3人分)

小松菜1/3袋
納豆(タレ付き)1パック
ゆでたまご1個
麺つゆ小さじ1/2〜1(お好みで)

作り⽅

  • 小松菜はさっと茹でて水気を絞り、食べやすい長さに切っておく。
  • ゆでたまごは粗みじんにする。ボウルなどに入れてフォークで荒目につぶしても良いでしょう。
  • ボウルに小松菜、ゆで卵、納豆、納豆のタレ、少量の麺つゆを入れ、全体を混ぜ合わせて味をととのえて完成です。

もう一品欲しい時にすぐに作れる副菜です。たんぱく質もプラスできる優秀なおかずです。忙しい時には冷凍の小松菜やほうれん草を活用してみましょう。

食生活で注意したい3つのポイント

免疫力を維持し、感染症のリスクを抑えるために、日々の食生活で意識したいその他の重要なポイントをチェックします。

身体を「冷やさない」食事を意識する

体温が下がると、免疫細胞の働きも低下することが知られています。特に冷たい飲み物や生野菜ばかりの食事は、身体を冷やす原因になります。

これが大事

温かい味噌汁やスープ、お茶などを積極的に飲む。

生野菜よりも、温野菜や蒸し野菜、煮込み料理を多く取り入れる。

しょうが、ネギ、唐辛子などの香辛料を適度に使い、身体を温める。

睡眠前の「食べ過ぎ」は避ける

部活で帰宅が遅くなり、夜遅くに食事を摂ることもありますが就寝前の食事は消化器官に負担をかけ、睡眠の質を低下させます。睡眠中に本来行うべき免疫細胞の修復や疲労回復が妨げられてしまいます。

これならOK!

可能な限りでよいので、就寝の3時間前には食事を終えるようにする。

どうしても遅くなる場合は、消化の良いもの(うどん、お粥、温かい豆腐料理など)を選び、脂質の多いものや大量のたんぱく質は控える。

「腸活」を意識してみる

先述した通り、免疫細胞の多くは腸に集まっています。腸内環境が乱れると、免疫システムの働き全体に悪影響を及ぼします。

トライして!

ヨーグルト、納豆、味噌などの発酵食品を意識的に摂る。

きのこ、海藻、野菜から食物繊維を摂り、善玉菌を増やす。

食事は「最高のリカバリー」を助けます

日々の食事は単なるエネルギー補給ではありません。それは、厳しいトレーニングから身体を回復させ、次のパフォーマンスへの準備を行う「最高のリカバリー」であり、ウイルスと戦うための「最大の防御策」と言っても良いでしょう。

「栄養を取らなければ」というプレッシャーを感じず、今日からできる「プラスワン」の工夫で「おいしく楽しく」ご紹介した栄養素を食卓に取り入れてみてください。

強い身体は、練習だけでなく、日々の食の積み重ねから作られます。栄養面からも万全の体制を整え、「負けない身体」で目標達成に向けて突き進んでください。

Writer / akashi

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