「部活を辞めたい」と思った時に読んでほしい。モチベーションUPの4つのヒント
「明日、部活に行きたくないな…」 「もう、辞めてしまおうかな」
スマホに触れる気力もなくて、ただただ天井を眺めている。そんな辛い時間を過ごしている方はいませんか?
今、あなたがそう感じているのは、あなたが弱いからでも根性がないからでもありません。あなたがこれまで、自分の限界ギリギリまで一生懸命に頑張ってきた動かぬ証拠です。
特に5月から6月にかけては、1年の中でも最も「心が折れやすい」時期。新しい環境での緊張が解け、疲れがドッと出る「5月病」。
そして、追い打ちをかけるように降り続く梅雨の湿気と低気圧。これらは私たちの自律神経を乱し、思考をネガティブにさせる強力な要因です。
今回は、「カットくん運動教室」を主宰するトレーナー・伊澤壱斗先生の知見をヒントに精神論や根性論に頼らない、具体的なメンタルケアとモチベーション維持の方法を紐解いていきます。

なぜ「今」辞めたくなるのか?心の仕組みを知る
多くの指導者や大人は「やる気を出せ」「目標を思い出せ」と言います。しかし、伊澤先生の指導の根本にあるように、パフォーマンスの基盤は常に「身体」にあります。
心が「辞めたい」と叫んでいる時、あなたの脳や身体は、いわばガス欠の状態です。ガソリンが入っていない車に「もっと速く走れ!」とムチを打っても、エンジンが壊れてしまうだけですよね。
今のあなたは、まさにその状態かもしれません。 まずは、モチベーションを「気合」で引き出すのをやめてみましょう。
モチベーションUPの4つのヒント
これから紹介する3つのヒントは、すべて伊澤先生が提唱する『外側からのアプローチ』です。心に直接触れるのではなく、身体や環境といった外側を整えることで、結果的に心がふっと軽くなる方法をお伝えします。
ヒント①:【休息】「休むこと」を練習メニューに組み込む
部活動の世界では、いまだに「休む=サボり」「休む=ライバルに遅れる」という強迫観念が根強く残っています。しかし、身体のパフォーマンスを最大化させるために最も重要なのは、練習そのものではなく「回復、リカバリー」です。
「何もしない」は攻めの姿勢である
アスリートへ身体の正しい使い方やケアを指導している井澤先生の視点から見れば、心の疲弊は、脳が深刻なエネルギー不足に陥っているサインでもあります。
ここで間違えがちなのが、「スマホを見ながらダラダラ過ごす」こと。実は、これは本当の意味での休息にはなりません。目から入る情報の処理で、脳は休む暇なく働き続けてしまうからです。
【具体的なアクション:積極的休養】
1日15分だけでいいので、「デジタルデトックス」の時間を作ってみてください。 目を閉じ、静かな場所で横になる。そして、横隔膜を意識した深い呼吸を繰り返します。深い呼吸は、乱れた自律神経を整えるスイッチです。
「今日は練習を休んでしまった」と自分を責めるのではなく、「明日の最高のパフォーマンスのために、今は細胞を修復しているんだ」と考えてください。休むことは、次の勝利へ向けた「攻めの戦略」なのです。
ヒント②:【道具】愛用品の「メンテナンス」が心に光を灯す
モチベーションが上がらない時、無理に高い目標を立て直そうとするのは逆効果です。心にエネルギーがない時に大きな夢を語ることは、今のあなたにとって重荷でしかありません。 そんな時は、視点を「自分の内側」から「自分の外側」へと移してみましょう。
道具と対話する時間が、自分自身を救う
伊澤先生は教室の中で、足元の感覚や接地、身体のセンサーがいかに大切かを伝えています。泥だらけのシューズや、手入れのされていない道具では、その「繊細な感覚」を受け取ることはできません。
プロのスポーツ選手が道具を異常なほど大切にするのは、単なるマナーではなく、道具の状態が「今の自分の状態」を鏡のように映し出すからです。

【具体的なアクション:身近なもののリセット】
- シューズを磨き上げる: 汚れを落とし、丁寧に拭く。
- 消耗品を替える: ラケットのグリップ、ボロボロになったソックスなど、数百円で変えられるものを新調する。
- カバンの整理: 部活バッグの中の不要なものや、ゴミを捨て中身を整える。
不思議なもので、道具が綺麗になると「これを使ってプレーしている自分」を想像しやすくなります。「明日、このピカピカのシューズで一歩踏み出してみようかな」。その小さなワクワクこそが、枯れかけたモチベーションを高める一歩となります。
ヒント③:【外見】形から入り、「脳」に自信を錯覚させる
「心が変われば行動が変わる」と言われますが、現実はその逆、「行動や外見が変われば心が変わる」ことの方が多い事を知っていますか?日々の姿勢がいかに脳や神経系に影響を与えるかが重要視されています。
「理想の選手」のコスプレをする
部活に行きたくない時、私たちの視線は下を向き、肩は内側に入り、呼吸は浅くなります。この「辞めたい人の姿勢」を、外見から強制的に変えます。
【具体的なアクション:見た目と姿勢のコントロール】
- 練習着を整える: お気に入りのウェア、あるいはパリッと洗濯されたシャツをあえて選ぶ。
- 髪を整える: 「どうせ部活で乱れるから」ではなく、鏡を見て「よし」と思える状態にする。
- 井澤式・正しい姿勢: 胸を開き、頭のてっぺんが吊るされているような意識で立つ。
姿勢を正すと、肺に酸素が入りやすくなり、脳への血流が改善します。すると脳は「今の自分は自信に満ちている状態だ」と思い込み、少しずつ前向きなホルモンを出し始めます。 感情が伴っていなくても構いません。「形」を整えることで、後から心が追いついてくるのを待ちます。
ヒント④:【目標の最小化】「1ミリの成長」にスポットライトを当てる
モチベーションがどん底の時、多くの人は「レギュラー入り」や「大会での勝利」といった遠くの大きな目標を見て、今の自分とのギャップに絶望してしまいます。しかし、トレーニングの根底にあるのは、「日々の小さな積み重ね」です。
「練習に行く」だけで100点満点
心が折れそうな時は、目標を「これ以上小さくできない」というレベルまで分解してみましょう。
- 部室に到着する。
- 挨拶を自分からしてみる。
- ストレッチの1種目だけ丁寧に行う。
当たり前のことが辛い時も「これくらいならできるかも」と思えることから、一つで良いので行動に移してみましょう。
【具体的なアクション:自分を褒める基準を下げる】
今日一日、どれだけしんどくても「部活へ行こうとした」自分に100点をあげてください。身体の感覚を研ぎ澄ませるには、今の自分を客観的に観察することが不可欠です。 「今日は5分だけ真剣に基礎練習ができた」。その「1ミリの成長」に自分でスポットライトを当てることで、心のエネルギーが溜まっていきます。

立ち止まることは、後退ではない
休息をとり、道具を磨き、姿勢を正しても、それでもどうしても「辛くて動けない」と感じるなら。その時は、「一旦、全力で立ち止まる」という選択肢を自分に許してあげてください。
部活動は、あなたの人生を豊かにするための「手段」であって、あなたを壊すための「目的」ではないはずです。そして、自分自身の心の安全を一番に考えてくださいね。
「辞めたい」と思うほど悩んだ日々は、決して無駄にはなりません。 それほどまでに何かに真剣に向き合い、苦しんだという経験は、将来、あなたが誰かの痛みに寄り添える、深みのある大人になるための大切な糧になります。
頑張るあなたも、勇気を持って休むあなたも、どちらも心から応援しています。

監修
井澤 壱斗(「カットくん運動教室」主宰)
身体の正しい使い方やセルフケアの大切さを伝える「カットくん運動教室」を主宰。身体操作の改善、コンディショニング、アスリートのリカバリー指導に取り組む。
ゴールドジム退社後も、第一線のトレーナーとしてさらなる研鑽を積み、現在は自らを「ウェルネスデザイナー」と定義。単なる技術指導の枠を超え、簡単な運動を用いた姿勢改善や神経系へのアプローチを重視したコンディショニングを提唱。
特に「身体を整えることで、心とパフォーマンスを同時に引き出す」という独自の視点は、さらなる高みを目指すアスリートから厚い信頼を得ている。
【取得資格】NSCA-Certified Personal Trainer日本トレーニング指導者協会認定トレーニング指導者国際救命救急協会認定CPR+AED
【Instagram】 @kattokun_undou_kyoshitsu